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(2018/9/21)ニューヨークタイムス ワシントン:

【ロッド・ローゼンスタインが秘密裏にトランプを録音することを示唆し、憲法修正第25条について議論していたことが判明】

副司法長官に就任して2週間、ロッド・J・ローゼンスタインは、大統領によるジェームズ・B・コミーのFBI長官解任という危機に直面した。

彼は昨年、ホワイトハウスでトランプ大統領を密かに録音して、政権を消費する混乱を暴こうと提案し、憲法修正第25条を発動してトランプ氏を不適格者として罷免するために、閣僚を募集することを話し合ったという。

ローゼンスタインがこれらの提案をしたのは、トランプ氏がジェームズ・B・コミーをFBI長官として解雇したことでホワイトハウスが混乱に陥った2017年春のことだった。その後大統領は、大統領執務室でロシア人に機密情報を漏らし、トランプはコミーに、忠誠を誓い上級補佐官への調査を終わらせるよう、依頼していたことが明らかになった。

ローゼンスタインは、就任してわずか2週間で、ロシア捜査の監督を始め、ヒラリー・クリントンのEメール捜査を批判するメモを書いて、大統領によるコミーの解任に重要な役割を果たした。しかし、ローゼンスタインは、トランプが解雇の際にこのメモを引用したことで不意を突かれ「自分が利用されたのではないか」と周囲に話し始めた。

ローゼンスタインは、他の司法省やFBI関係者との会合や会話の中で、トランプ氏を秘密裏に録音したことや憲法修正第25条に関する発言をした。複数の人物が過去数ヶ月間のインタビューでこのエピソードを語っているが、内部での検討状況を語るため、匿名である。これらの人々は、出来事そのものや、当時局長代理だったアンドリュー・G・マッケイブをはじめとするFBI職員が、ローゼンスタインの行動や発言を記録したメモについて、説明を受けている。

ローゼンスタインの提案は、いずれも実現しなかったようだ。ローゼンスタインはマッケイブに「ジェフ・セッションズ司法長官とジョン・F・ケリー国土安全保障長官(当時)(現ホワイトハウス首席補佐官)を説得して、憲法修正第25条を発動することができるかもしれない」と話していたが、彼がどれほどの決意を持っていたのかは定かではない。

このような極端な提案は、コミーが解任された後の、混乱した日々のローゼンスタインの心境を表している。ローゼンスタインは、トランプ大統領によるFBI長官候補の面接に同席したり、コミー解任に関与したとして攻撃を受けたりするなど、騒動を間近で見ていた。当時、ローゼンスタインと話した人によると、ローゼンスタインは葛藤し、後悔し、感情的になっていたという。

しかし、ローゼンスタインはこれに反論した。

ローゼンスタインは「ニューヨーク・タイムスの記事は不正確で、事実に反している。これだけははっきりさせておきたい。私と大統領との個人的な付き合いの中では、憲法修正第25条を発動する根拠はない」と、声明を出した。

司法省の広報担当者は、ローゼンスタインが盗聴器の装着を提案した際に同席していた人物の発言も紹介している。名前は伏せるが、その人物は発言を認めた上で「ローゼンスタインが皮肉を込めて言ったものだ」と述べている。

しかし、ローゼンスタインの発言を説明した他の人物によると、ローゼンスタインは、このアイデアを本気で考えていることを確認しただけでなく、局長の面接を受けている他のFBI職員にも「トランプを秘密裏に録音することができる」と提案したとのこと。

後にFBIを解雇されたマッケイブは、コメントを控えている。マッケイブの弁護士によると、彼のメモは、トランプの関係者がロシアの選挙干渉に共謀したかどうかを調査する特別顧問、ロバート・S・ムラー3世に引き渡されたという。「それらのメモ一式は、2018年1月下旬の彼の退任時にFBIに残っていました。メディアのメンバーがどのようにしてそれらのメモを入手したかについて、彼は何も知らない」と、マイケル・R・ブロムウィッチ弁護士は、顧客について述べた。

ローゼンスタインについての暴露は、トランプがここ数日、連邦法執行機関への新たな攻撃を繰り広げている中で行われたもので、"ザ・ヒル"のインタビューでトランプは「FBIへの攻撃が "私の最高の業績の一つ"になることを願っている。コミーをもっと早く解雇していればよかった。私が予備選に勝った日に彼を解雇するべきだった」と語っていた。

さらに「党大会の直後にクビにするべきだったんだ。"あの男は要らない"と。少なくとも就任初日にクビにするべきだった」と、トランプは述べた。

ローゼンスタインは、アメリカの法執行機関のNo.2に就任して数日後、危機的状況に追い込まれた。

爽やかな5月のある日、ローゼンスタインとその上司であるセッションズは、トランプ陣営の有力な支持者であることを理由にロシア捜査から身を引いていたが、大統領執務室でトランプと合流した。大統領は、コミーを解任する計画を彼らに伝えた。大統領を説得しようとしていたホワイトハウスの側近たちが驚いたことに、ローゼンスタインはこの計画を受け入れ、クリントンのEメール調査に関するメモを書くことまで申し出た。ローゼンスタインは、すぐにそのメモを提出した。
その翌日、トランプは解雇を発表し、ホワイトハウスの側近たちはローゼンスタインのメモを公開し、それがコミー解雇の根拠となった、とした。民主党はローゼンスタインに対し「大統領がおこなった解雇を納得させるための"架空の話"作りに協力した」と、激しく非難した。

"民主党のクリストファー・マーフィー上院議員は「あなたは、嘘を広めるために使われることを承知でメモを書いた。この大失態は、あなたのせいだ」とツイートした。

当時、ローゼンスタインと話した人によると、ローゼンスタインは大統領が自分のメモを利用したことに驚き、トランプに怒りを覚えていたという。自分の評判が悪くなったのではないか、と心配になったらしい。
決意を新たにしたローゼンスタインは同僚たちに、この問題での自分の役割が、最終的には"正当化"されるだろうと話し始めた。解雇から1週間後、ローゼンスタインは、マッケイブをはじめとする少なくとも4人の司法省高官と会い、自分の役割を説明した。

ムラー調査がトランプ氏にもたらす可能性について。

特別弁護人であるロバート・S・ムラー3世は、トランプが法律を破った証拠を見つけた場合、どのように進めるかについて、決断を迫られる。
ローゼンスタインは、話し合いの中で、トランプがFBIの新長官探しをどのように行ったかについて「大統領が候補者の面接を真剣に受け止めていない」と不満を表明した。新長官には、マッケイブを含む一握りの政治家や法執行官が検討されていた。

ローゼンスタインは「この採用プロセスが、ホワイトハウスに起因する広範な機能不全を象徴している」と指摘している。さらに「採用プロセスと政権自体が混乱している」と、述べたという。

その後ローゼンスタインは、大統領がホワイトハウスを訪れた際に、録音機や "盗聴器"を身につけて密かに録音する、というアイデアを出した。参加者の一人が「ローゼンスタインは本気なのか」と質問すると、彼は「本気です」ときっぱりと答えた。

ローゼンスタインは「彼でなくても、マッケイブやトランプと面接する他のFBIの職員が盗聴器をつけるなどして、大統領を録音することもできるだろう」と提案した。ホワイトハウスの職員は、トランプが面会に来ても携帯電話をチェックすることはなく、トランプを密かに録音することは容易であった。

ローゼンスタインは、他にも少なくとも1回、盗聴器装着の可能性を口にしたというが、詳細は明らかにしていない。

この提案自体が注目に値するものであった。情報提供者や潜入捜査官が、連邦捜査官のために密かに証拠を集めるため、隠し持った盗聴器を使用することはよくあるが、それは通常、犯罪捜査における麻薬王やマフィアのボスを対象としたものであり、職務遂行能力が低いと見られている大統領を対象としたものではないのである。

結局、このアイデアは実現しなかったと関係者は語っている。しかし、ローゼンスタインの発言は、後任のFBI長官の面接に参加したり、特別顧問の任命を検討したり、その他、10万人を超える司法省の職員の日常業務を取り仕切っている間に、ローゼンスタインがいかに不安定な行動を取っていたかを示す例だという。

5月16日には、マッケイブとローゼンスタインの間で少なくとも2回の会合が行われたと、当日の様子を知る関係者は語っている。ローゼンスタインは、司法省関係者による最初の会議で憲法修正第25条を持ち出したという。参加者の1人であるリサ・ペイジ(当時マッケイブ氏の部下だった弁護士)が書いた2回目の会議に関するメモには、この話題は書かれていなかったという。

ローゼンスタインが提案した憲法修正第25条も、同様にデリケートな話だった。修正第25条は、副大統領と閣僚の過半数が「大統領は職責を果たすことができない」と宣言することを認めている。

ケリーとセッションズが賛成していたとしても、単にストロー・ポールを実施するだけでは、他の政府関係者が大統領に伝えれば、大統領は関係者を解雇して活動を終了させることができるため、リスクが大きい。

マッケイブは、ローゼンスタインとの会話を他のFBI職員に伝えていた。マッケイブがケリーやセッションズに相談したことを知っている人はいなかったという。

このエピソードは、名前を挙げられた政権高官が憲法修正第25条を検討した初めての例である。これまでにも、ニューヨーク・タイムス紙に寄稿した無名の政権高官を含め、正体不明の人物が憲法25条について議論したと言われている。その人物の身元は、タイムス紙の報道部門のジャーナリストにはわからない。

マッケイブのメモには、ローゼンスタインがコミーの解雇を後悔していることを示唆する内容もあった。マッケイブは、5月12日に行われたマッケイブとのミーティングで、ローゼンスタインは動揺して感情的になり「コミーがまだFBIにいればアイデアを出し合えるのに」と言ったと書いている。

ローゼンスタインは、コミーの解雇から5日後の5月14日にも、FBIの職員に、特別顧問についてアドバイスを求める電話をすることについて尋ねた。その際、コミーはもう政府の一員ではないので、そのような電話はよくないと答えている。また彼は、ローゼンスタインがコミーの解任を支持した理由として掲げていた「クリントンのEメールに関する調査で誤った判断をした」という内容と矛盾していると考え、驚いたという。

ローゼンスタインは、53歳の終身公務員である。ペンシルバニア大学とハーバード大学ロースクールを卒業後、連邦判事の事務官を経て、1990年に司法省に入り、メリーランド州の連邦検事に任命された。

ローゼンスタインは、元副検事総長のジェームズ・コールを特別顧問に任命することも検討していたと、3人は語っている。コール氏は、生粋の共和党員であるムラー以上に、トランプの怒りを買うターゲットになっただろう。コールは、オバマ政権下で司法省のNo.2を4年間務め、個人弁護士としてクリントン夫人の長年の側近であるシドニー・ブルーメンタールの代理人を務めていた。

コールとローゼンスタインは、長年の知り合いである。コメントを控えたコールは、ローゼンスタインが司法省に入った当初、公的な汚職事件を起訴していた時の上司だった。

ローゼンスタインは、トランプ大統領とその周辺の人々から繰り返し攻撃されており、マッケイブもその対象となっている。マッケイブは、コミーが解任された時期に監察官の調査を受けた際、率直な意見を述べなかったとして3月に解雇された。監察官はその後、この問題をワシントンの連邦検察官に委ねた。

大統領周辺の人々は、マッケイブの率直さの欠如を指摘、コミーの下でのFBIを非難し、ロシア調査が汚染されていると主張している。

司法省は7月下旬、トランプ支持議員からの、議員らがムラーのものと信じているマッケイブメモの公開要請を、捜査が継続中だという理由で拒否した。ローゼンスタインはそれを、ムラーのものだと信じていた。ローゼンスタインは、その捜査を監督するだけでなく、大統領の弁護団にとっての証人としての役割がある。なぜなら彼は、司法妨害の可能性があるとして捜査されているコミーの解任を求めたからである。
https://www.nytimes.com/2018/09/21/us/politics/rod-rosenstein-wear-wire-25th-amendment.html
https://twitter.com/Breaking911/status/1043206110105231361
さよなら ローゼンスタインさん
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